離れて暮らす親と会えない子どもの心に気づくポイント

今日は前回書いた、新聞社さんから受けた取材の続きについて書きたいと思います。
まだ記事を読んでいない方は、こちらからどうぞ。
Check前回の記事のおさらい
前回の記事では、子どもに会えない親の問題(面会交流の問題)について、
- 子どもに会えない親がいてそのことが社会問題になっていること。
- 家庭裁判所の調停や審判、裁判で決定しても守らない親がいること。
- 約束を守らない親に家庭裁判所が履行勧告や履行命令をしても無視する人がいること。
- 最悪の場合、裁判になって損害賠償を支払うことを命じられること。
- 最後に子どもが親と会う権利について書きました。
今日は、面会交流と子どもの心の問題について書きたいと思います。
夫婦関係の悪化と子どもの心
夫婦喧嘩が絶えなかったり、夫婦関係が悪くなって親が日々ストレスを抱え、イライラや不安などのマイナス感情になってしまうと、親が抱える負の感情は、必ず子どもに伝染します。親が不機嫌な態度をとれば、子どもも不機嫌になります。
親が不安を抱えていると子どもも不安になります。
親がイライラしていると、子どももイライラします。
親が子どもの話を聞かなくなると、子どもは話さなくなります。
親の負の感情は必ず子どもに移るからなんですね。
面会交流は子どもの心にも影響します
子どもを引き取った親が、離れて暮らす親に子どもを会わせないとき、子どもの心にどんな影響を与えるでしょうか。子ども自身、離れて暮らす親に会いたいと思っていれば、会えないことを我慢しなければなりません。
我慢は(心理学では抑圧といいます)、胸の中に溜め込むだけで、子どもの心に一番良くないことだと考えられています。
大人と違って子どもは溜め込んだ我慢(負の感情)を、処理することができず、イライラしたり、学校へ行ってもやる気をなくしたり、不登校になったり、友達としょっちゅうケンカをしたり、指しゃぶりや、おねしょをするようになったりすることがあります。
昨年私が相談を受けた子どもの中に、離婚したばかりで母親に引き取られた男の子がいました。
あまり詳しく書けないのですが、この男の子は小学校低学年で、いつもイライラしていて、学校では毎日のようにケンカをしていました。
急に父親と離れることになったこと、また会えなくなったことで強い分離不安に陥り、空想虚言癖をもつようになったんですね。
※分離不安とは、親と離れることで強い不安を抱くこと。
※空想虚言癖とは、なかったことを本当にあったかのようにウソをつくこと。
※空想虚言癖とは、なかったことを本当にあったかのようにウソをつくこと。
Check男の子のさびしい心
男の子がなぜこのような精神状態になってしまったかというと、
- お父さんと急に離れてしまったこと。
- お父さんに会いたいと言ったら、お母さんが嫌がったこと。
- お母さんはお父さんと感情的に対立していたこと。
- お母さんが男の子の気持ちをわかってくれなかったこと。
- お母さんが男の子の話をちゃんと聞いてあげなかったこと。
などが原因で、男の子の心が不安定になってしまったのです。
※子どもの年齢や性格などによっても違ってきます。
子どもの心に影響がない場合もあります
離れて暮らす親と会えないことが、必ず子どもの心に悪い影響を与えるわけではありません。例えば、虐待を受けていたり、親がDVを受けていた場合など、明らかに子どもが親と会うことを拒否する場合は、逆に会わない方がいいと私は思っていますし、家庭裁判所もそのような考えをしています。
また、子どもと親の仲が良くて何でも話せるような関係や性格的にポジティブな家族の場合は、あまり影響がないときもありますし、片方の親と離れていても、感情的な対立がなく、子ども自身が両方の親に愛されていると感じていたり、共感的に子どもと接している親の場合は、年齢にもよりますが、あまり影響ないときもあります。
面会交流で子どもの心が壊れないようにするためには
子どもの心が傷ついてしまうと、人格形成に大きな影響を与えることがあります。そのためには、
- 親同士が感情的な対立をしないこと。
- 片方の親の悪口を絶対言わないこと。
- 共感的に子どもに接し、しっかり話を聞いてあげること。
- 子どもが自分の気持ちを素直に言えるような雰囲気をつくること。
- 絶対子どもに我慢をさせないこと。
最後に
子どもはいつも親のことを見ています。子どもにとって父親はたった一人の父親です。
子どもにとって母親はたった一人の母親です。
子どもは親からたっぷり愛情をもらうことで、心が安定し、自分に自信をもつことができるんですね。
離婚を選択したことは、しかたのないことかもしれませんが、ほんの少しでも、子どもの心にも配慮してくれたら、両方の親から、今以上に愛情を感じることができたら、離婚は子どもにとって悪い出来事ではなくなるかもしれません。
離婚をするときは、必ず親の気配りが必要で、親が幸せでいることが、子どもの幸せにつながるのだと私は思っています。